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「でしょ?なのに甲斐がサラッと言うから」

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「でしょ?なのに甲斐がサラッと言うから」「言うのはいいけど、言われるのは照れるんだよ。もちろん、嬉しいけど」余裕の笑みから一転、照れくさそうな表情の甲斐を見て、勇気を出して気持ちを伝えて良かったと心から思った。結婚がゴールではないことはわかっている。結婚した先に待っているものは、きっと幸せなことばかりではない。それでも私は、甲斐と共に生きていきたい。ケンカだって、何度してもいい。ケンカする度仲直りして、互いのことを分かり合っていければいい。私たちは、company formation hong kongったばかりだ。これからの長い人生、予期しないことが起きるのも覚悟している。甲斐と結婚して、家族になる。この決断を、私はこの先何が起きても後悔することはないだろう。「正直、こんな日が来るなんて思わなかった。そもそも七瀬と付き合ってること自体、俺にとっては奇跡だし」「奇跡って……大袈裟だよ」「大袈裟じゃない。……七瀬を手に入れるまでに、俺が何年想い続けてきたと思ってんだよ」甲斐は私の頬を軽くつねった。照れ隠しで大袈裟だなんて言ってしまったけれど、本当は私も今こうして一緒にいられることは奇跡だと思っている。「私といるとかなり面倒くさいと思うけど、これからもよろしくお願いします」「面倒くさいなんて思ったことないけど。こちらこそ、末長くよろしく」互いに深々と頭を下げ、これからのことについて語り合った。ついこの間までいろいろ悩んでいたのが嘘のように、私の心は希望の光で満たされていた。結婚しようと互いの気持ちを確認し合ったその日から一週間が経ち、私と甲斐は今までと変わらない生活を送っていた。私は甲斐とこの先結婚するのだという現実に満足していて、いつ入籍するのか、家族にいつ挨拶に行くのか、結婚式はどうするのか等の具体的なことはまだ何一つ考えていなかった。ちゃんと結婚に向けて話を進めてくれたのは、やっぱり甲斐の方だった。「七瀬、明日って特に何も予定ないよな?」「明日?日曜日は特に何も予定入れてないけど……甲斐とどこか出掛けようと思ってたから」土曜日の夜。近所のカフェで食事を済ませた後、いつものように私の家で甲斐とまったりしながらドラマを見ていた。「じゃあ明日、七瀬の実家に行くか」「私の実家?何しに?」「何しにって……結婚の挨拶に決まってるだろ。急で悪いけど、明日実家に行ってもいいか確認しておいて」「……はい」結婚の挨拶に行くと聞いた途端、緊張が走った。甲斐と結婚することは、まだ蘭にしか伝えていない。もちろん翼と祖父が喜ぶ顔は想像出来るけれど、唯一気がかりなのは母だ。母がどんな反応を見せるのか気になりながらも、私は一番連絡を取りやすい翼に明日甲斐と家に行ってもいいか連絡を入れた。すると、マメな翼からはすぐに承諾の返事がきた。「翼、明日家にいるって。おじいちゃんもお母さんも、明日は家にいるみたい。甲斐に会えるの楽しみにしてるって」「そっか、良かった。じゃあ俺、今日はもう帰ろうかな」「え、帰っちゃうの?」土曜日の夜は、大体いつも甲斐は私の家に泊まっていく。今夜も絶対にこのまま泊まっていくのだとばかり思っていた。「ん、また明日な。朝、車で迎えに来るから」どうして帰るのだろうとこのときは不思議に思ったけれど、その疑問は翌日すぐに解き明かされた。翌日の朝、私を迎えに来た甲斐は見慣れないスーツ姿で私の前に現れたのだ。「スーツ着てる……」「やっぱり結婚の挨拶に行くんだから、適当な服は着ていけないだろ」